ササン朝ペルシアで生まれた葡萄文様の伝来は古く、飛鳥・奈良時代にはすでに葡萄唐草文を見ることが出来ます。
葡萄はたくさん実が成る、いわゆる「成り物」と云われる縁起物で「豊穣」、栗鼠は多産な鼠に似ていることから「子孫繁栄」などの意味が含まれます。
また唐草そのものも蔓草の生命力を発展に結び付けたり、その発展が連綿と続くという事を連想させます。
武家では“葡萄を武道”・“栗鼠を律す”に読み替え「武道を律する」との語呂合わせで喜ばれ流行したようです。
この花や小枝をくわえた鳥を形どったこの文様もペルシアに起源を発し、日本では正倉院御物や種々の工芸品にみられ、松喰鶴などの和様化した文様も生みました。
鳥が幸せを運ぶという意味から縁起が良いとされ、吉祥文様として用いられます。
金箔を5枚貼り合せ、切絵のように金箔を切り抜いたものを貼り付けてあります。
見る角度・照明の具合などで様々な見え方を楽しめます。
画題としては宋元の着色画にいくつか例を見ることが出来る古典的なものとなります。 蓮花の蕾・開花・落花・結実、蓮葉の芽吹いて枯れゆく様、こういった時のうつろいを思いながら画きました。 絵巻物と同じく右から左へ流れていきます、絵巻物との違いは室内で向かい合わせに絵が並びますので「一周してまた繰り返す」という事、咲き散ってまた咲いて散ってまた咲いて・・・
構図が極端に横長になるので単調にならないよう気をつけました。 配置される花や葉のリズムと面積比、視線の誘導・・・等々、構図がバチっと決まると数学の問題が解けたような楽しさがあります。 横に長い構図を生かし静かな落ち着きのある表現になるよう心がけました。
板絵欄間
寸法 W952×H270(mm)、W700×H270(mm)
(3尺1寸5分×9寸)、(2尺3寸×9寸)
屋久杉、岩絵具、金、墨など